<The dice is cast>



天下一武道会は。
大シマロン記念祭典、知・速・技・総合競技、勝ち抜き! 天下一武道会というご大層な名にもれず。

「三人一組……で、なぜか初っ端は筆記試験」
「それに車での競技を経て、優勝者が昨年度優勝者の大シマロン代表と対戦だって」
説明を聞いたメンバーは、顔を突き合わせて話し合う。
ユーリチーム――というか表はノーマンチーム――は、ノーマンの振りをしているユーリを代表に立て挑むことになる。
当然僕も行くと言い放ったヴォルフラムがいるので、残り一枠はヨザックだ。
フリンは女性なので、女人禁制のこの場所には足を踏み入れるのもままならない。
村田は……最後の対戦を考えると論外であるとフリンが思ったらしく、既にこちらのチームは登録済み。

というわけで何を話し合うことがあるのかと言うと。

「万が一に備えて」
「……って言っても……」
先に競技説明がほしかったぜと苦笑いしながらテッドが面子を眺める。
どうせである、興味ももちろんあるしユーリの護衛という名目も立つ。(何が目的なんだかさっぱりだが)
そもそも、こっちはコンラートに「ユーリを頼む」と言われているわけで。
永遠シード権を持つ(昨年の優勝者がシード権を持つが、大シマロン以外が優勝したことはないので)大シマロンがシード持ってるって時点で卑怯だし、なんか卑怯なことしてこないとも限らないし。

優勝者はどんな望みでも叶えてもらえるらしい。
……確かに、その理屈で行けば箱は手に入るがそう優しくもないはずだ。
けれども、ユーリの望みであるので残りのメンバーは無理と知って協力中。

で、大胆な案を出した人物がいたものだからすっかり乗り気なメンバー。
その案とは。
「いいよ、適当に地方出身者ぶちのめして招待状だけ手にすれば」
「目星はついてるんだ」
「ねー」
「ねー」
「……シグール、クロス、お前ら……」
手を組むととことんタチの悪い二人が笑顔で言い合っているので、もう止める人がいない。
大シマロンの傘下の国々や地方からぞくぞくと代表者が集ってくるのだが、そのどこかの参加権を金なり説得なり実力なり暴力なりで奪って出場しちゃおう☆ という案である。
仕方なくテッドとヨザックと村田でそっち方面について検討した結果、テッドが人選をひねり出した。

「じゃあ、参加組はシグールにルックにジョウイ」
「Σ( ̄□ ̄|||)」
「えっ」
「わ〜い」

「……で、その他はクレイモアさんやフリンさんと一緒に別ルートでゴール地へ……なんだジョウイ」
「ナンデ僕ガ」
「ん? 文句でもあるのかな?」
「……アリマセン」
満面の笑顔を向けられて、がくりとジョウイは肩を落す。
それを見ていたルックは、口を閉じて無言で隣のクロスに寄りかかった。
見事にどどめ色メンバーになったが、この場に同情してくれる人はいない。
「で、後は足だな……「速」の競技用に」
「船に軽量戦車が積んである」
「何で引っ張る?」

ヴォルフラムの言葉にクロスが振り返る。
馬……はもう売り切れているだろうし、人でもいいらしいがマッスルマンを集めるのにはちと遅い。
牛……は遅そうだし……。
四馬力の枠を満たすなら何でもいいらしいが。

「……羊は十六頭で四馬力よ」
「ンモッンモッメェェ」
ぽつりとフリンが言った言葉に、Tぞうが反応して嘶いた。

やっぱり羊はそっちの方面に役立てるものらしい。

 

 


 



***
短いですがこれで一応参加決定、かな?
人選には意味があります。けしてテッドの嫌がらせではありません(たぶん


The dice is cast:賽は投げられた