<Sometimes need to be sorted>
嗚呼懐かしの二人旅。
……でもない。
「で、テッド」
「なんだ」
「懇切丁寧に僕をルックから離して何がしたかったの?」
「……単に適所適材だ」
ありもしない頭痛を堪えるふりをするテッドを、クロスは無言で睨みつける。
ルックとジョウイはバランスがいいが、シグールとセノにクロスとテッドはバランスがいい組み合わせとは言えないだろう。
いくらユーリの護衛と言ったって、実力はとんとんなわけだし、防御に長けたセノはともかくシグールは。
そこまで言うと、呆れた顔で見返された。
「お前、ほんっとうに軍主だったんだよな?」
当時いたくせに何を言ってるんだこの男。
「――エレノアさーん、ご苦労さまでしたーほんっとうマジ成仏してくださーい」
遠い遠い空へ向かって呼びかけるテッドを、まるで危険物でも見るような目でクロスは見やる。
「シグールの件は置いといて、俺達が別行動の理由か……ちょっと長い話だけどいいか?」
「いいよ」
ふう、と溜息をついてテッドが話し出す。
「この世界には、四つの触れてはいけない物がある、らしい」
遠い昔、この世界は「創主」と呼ばれる存在に支配されていた。
だが、今の魔族の先祖が一団となって、その創主達と戦い、そしてかろうじて勝利し、それを封じた。
四つの箱に。
箱の名は。
風の終わり
地の果て
凍土の劫火
鏡の水底
それらは「鍵」をもって封じられ、それは今でもひっそりと受け継がれているという。
「……鍵」
「……文献にそこまで書いてある物はない、が」
「が?」
「大方、ろくなもんじゃねぇだろう」
吐き捨てたテッドは、止めていた歩みを進める。
「ねえ、開けたらどうなるの?」
「世界が滅びる」
「うわあ、真の紋章より性質悪いね」
「四分の一だからな」
「……それって、四つ揃ってる僕達って結構ヤバイ?」
「んじゃないのか」
でもさ、とクロスは話を戻す。
「それが何の関係が?」
「絡んでるんだろうよ、たぶん」
「なんでそんな事言えるのさ」
「災害悲劇問題事件を一身に集める天魁星三人そろって、最悪の事態じゃないわけねぇだろうが?」
「……僕達を何だと思ってるわけ?」
「避雷針」
「……君は」
「巻き添え食らう高圧電線」
あ、そう。
呆れ果てたクロスは、先を急ごうと足元に集中した。
***
箱レクチャー。こんなものと関ります。
坊がわざわざユーリ護衛に行ったのは勿論理由ありますヨ。
テッドとクロスに二人旅させたいと言ったのは私ですが(by浅月)
Sometimes need to be sorted:何事も時には整頓せよ(造語)