※オリジナルキャラ視点です。
 加納雄大…3年生の時に政宗達と同じクラスだった人。大手カメラ局に就職。





<巻き込まれるも人生>





「あ」
遅めの昼食を食べていた手を止めて、加納雄大はテレビの中にいる見覚えのある顔を見た。
どこかで聞いた事のある声がすると思えば、そこにいたのは高校時代の同級生だった。
――そういえば、今日の昼からだといっていたか。
伊達政宗と真田幸村の結婚会見は。

オリンピックで幸村が世界新記録を出した瞬間を雄大も目撃していた。
高校時代は短距離で名を馳せていた彼がいつの間にやらマラソンに転向した挙句、世界一を取るとはと、当時を知る身をしては感慨深いものがあったけれど、その直後にやらかした事を見て、ああやっぱりあいつは高校から変わってないんだと思った。
そしてやっぱり政宗なんだなと思った。
……二人とも変わってないんだなぁ。


一瞬にして世界を激震させた二人の記者会見は、何やらまたとんでもない事になっているらしかった。
「トばしてんなぁ伊達政宗」
向かいの席に座っていた同期が、弁当をつつきながら呟く。
「……そうだなぁ」
高校時代の二人の言動を考えると、最初こそ驚きはしたものの。
まあ、あいつらだしなぁ、で片付けてしまう事にした。

「ん、誰だあれ」
休憩時間も終わりに近づいていたのでとっとと食べてしまおうと、画面から視線を外してぱくぱく食事を勧めていた雄大の耳に、同期の驚きの声が届く。
ついでに何かを殴るような音と、倒れるような音がした。


つい、と同期が箸で指し示された画面を見て、雄大は「うわぁ」と思った。
床に倒れ伏した幸村と政宗。
そしてその二人を殴ったらしい人物は、据わった目をしていた。
「……まだオカンやってんだ、あいつ」
高校からここまで二人に付き合っているだなんてどれだけ奇特なんだ。というか離してもらえなかったのか何なのか。

そしてカメラの向こうでは、佐助によるオカン会見が始まっていた。
「相変わらず苦労してんなあ」
ぽつりと言った雄大の言葉に、同期がぽろ、と箸に乗せていた米を落とした。

「……お前、あいつの事知ってるの?」
「ん? あいつらなら高校の同級生」
「「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?」」
ガタガタガタッ、とそこかしこから席を立つ音がした。

雄大の周りに座っていた人達が、一斉に立ち上がっていた。


「ちょ、マジか!?」
「マジ」
「よっし、スポーツ班がもらったぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「芸能班が先だ!!」
は? と思っている間に、昨日からほぼ徹夜状態で情報集めと裏取りに奔走していたらしいスポーツ班と芸能班が、鬼気迫る様子で雄大に迫ってきたのだった。


 

 



***
このあと雄大君は編集長の前に拘束されるのでした。