<霧の守護者の場合>
「…………」
「…………」
「…………………………………………………………」
「あ、あのー……?」
「……クフフ」
「く、くふ?」
「……クフフフフフフフフフフ」
そういう事ですか!
そういう事だったんですねよくわかりましたよ――雲雀君!
あの時はまだ理解できなかった雲雀君の言葉を、この瞬間僕は理解しました。
……理解した瞬間に全力で後悔しました。
いっそあの時に噛み殺してくれればこんな事にならなかったかもしれないというのに!
知っていて彼は哂うだけ哂って去っていったのです。
あの時止められたところで聞く耳は持っていなかったわけですが、それでも、あえて色々なものを金繰りすてて言うのであれば。
――その場にとっととツナヨシ君を連れて来て教えてくれればよかったのに!
まったくもって後悔は先に立たずというものです!!
地面に膝をついてバシバシやっていると、戸惑い気味にツナヨシ君は労わりの声をかけてくれます。
ああ、この頃のボンゴレは優しいですね……という事は、彼は何も知らないのでしょうか?
知っているのはあの鳥だけ?
それともあの忌々しい嵐や雨も、気付いているのでしょうか。
――なんにせよ、こうしてはいられません!
「それでですね、雲雀って人を探してるんですけど……」
「ツナヨシ君!」
「へ、な、なんで俺の名前」
「あの鳥はすぐそこにいますからすぐに帰ってくださいそして僕をたすけ――へぶっ」
どこからか何かが飛んで……トンファー?
ぞくり、と殺気を感じます。
これはすぐ近くにいますね……帰らずにどこにいるかと思えば何をしているんでしょうあの鳥は。
「あ、あの……?」
「……大丈夫です。たぶん、あっちの、建物にでも、いるんじゃ、ないでしょうか」
どこか異様な空気を出す僕に、ツナヨシ君は引き気味にお礼を言って去っていきました。
その姿が見えなくなってから、僕は少し向こうに飛んでいったトンファーを取りに言って、盛大に投げ返します。
「なにするんですか!?」
「勝手な事をしようとするからでしょ」
木の影から姿を現した雲雀君は、僕の投げたトンファーをあっさりと受け止めてしまいこみます。
その唇が珍しく笑みを形取り。
「君は予定通りにツナヨシと戦って負けるんだよ。じゃないとあれは強くならないだろ?」
「…………」
言われて愕然としました。
綱吉君には強くなってもらわなければ楽しくありません。
しかし……分かっていて僕に負けろというのですか!?
確かにツナヨシ君は僕との戦いでワンステップ上がったみたいですが、だからって負けろというのも酷いじゃあないですか!
鬼です悪魔です!!
完全に貧乏クジじゃないですか!!!
***
(分かっていてもやるしかない)