<2727>





「ツナ、ツナ!」
何度も名前を呼ばれて、ツナは目を開ける。
少しぼやけている視界の中で、茶色い色がふわりと揺れる。
「ツナ、起きなきゃ、朝だよ」
ばさばさと音がして、すうっと寒くなる。
布団を剥ぎ取られたのだと気がついて、ツナはようやく唇を動かした。
「……早い、な」
目を擦りながら起き上がると、得意気に微笑む兄がいた。
「だろ! ……まあ、朝方ランボが俺の上で跳ねてただけなんだけど」
「そうだったのか? 全然気付かなかった」
「だと思った。ツナは眠りが深いからなー」
早くしないと母さん朝ごはん片づけちゃうってよー、と言って二段ベッドの階段を降りていく兄を、声じゃないもので引き止めた。


スタッと二段ベッドの上から見事床に着地したツナを、兄は惚れ惚れした視線で見る。
「すごいなあツナは。俺なら絶対頭打つよ」
「俺は横着だからだ。兄貴はこんな事しなくていい」
ふわふわする髪を手櫛で軽く整えると、ツナはパジャマのまま部屋を出て行く。
「待って、ツナ」
ぱたぱたと追いかけてきた兄の綱吉は、視線が合うとえへへとゆるく笑った。
その笑顔に、日頃固く結ばれているツナの口許もほころぶ。

「ツナ、笑った」
それにまた綱吉は微笑み、なんだかむずがゆくなってきたツナは先に階段を下りる事にした。









「ツー君準備できた?」
「できた。兄貴、零してる」
すでに朝食も終えて出かけるだけになっていたツナは、まだ朝御飯を食べている綱吉の口許を拭う。
「ん……ありがと、ツナ」
「おいランボ、早く食べろ、綱吉に世話かけさせるな」
下にいた五歳児を睨みつけると、牛の子はギャーと泣き出した。
「う、うるさいもんね! ツナはだまってるんだもんね!」
「うるさいのはランボだ。綱吉は忙しいんだから母さんに食べさせてもらえ」
「ランボさんは綱吉がいいんだもんね!」

ズガン

「うるせぇ黙れ」
二人のど真ん中を通過したのは本物の銃弾だ。
「あたるだろうっ!?」
振り返ったツナに、リボーンは涼しい顔でくいっと顎を動かす。
「綱吉が出て行くが」
「…………」
慌てて朝食を押し込んで、ばたばたと玄関へ駆け出していこうとしている綱吉を見て、ツナは僅かに目を細めて。

「リボーン」
「なんだ」
静かな声で、視線を向けないまま続ける。
「今日、XANXUSが来る」
「…………」
彼の言わんとしていることは理解できたので、リボーンは重く頷いた。



「わかった、なるべく引き止めてやる」
「Grazie」











***
2727→綱吉(通常ツナ)とツナヨシ(ハイパーツナというよりスレツナ?)の双子設定。
基本続きません。
あとツナとXANXUSは仲が悪い。