<Go to Vongola 2>
 



通信網もことごとく傍受されている恐れがある。
八方塞り――マーモンが来るまでは動かないほうが得策かもしれない。
「腹減ったなあ・・・結局機内食、一回しか食ってねーしさ」
「買出しに行くか」
スクアーロが玄関へ向かう、それを綱吉は静止した。
「あ゛ぁ゛ん? なんでだ!」
「そろそろマーモンが来る。ありあわせのものでいい」
「ありあわせってお前・・・ビアンキの冷蔵庫の何割がマトモな食材だと思ってるんだ」
「・・・・・・缶詰」
「ないな、姉貴は缶詰が邪道だって嫌う」
「・・・・・・災害食料」
あるわけない。


かくして一同が空腹を抱えながら微妙に無言で蹲っていたところ、マーモンが玄関までやってきた。
予想外のおまけをつれて。
「やあ、綱吉クン。お久しぶりです」
「骸っ・・・」
マーモンに両手を合わせて、綱吉は拝んだ。
「大事になる前につれてきてくれたんだね!?」
「いや、もう大事になり終えていた」
「・・・」
ああああああああ。
声にならない叫びを上げて綱吉はしゃがみこむ。
「まあ、周辺を破壊しきってはいなかったから」
「破壊「しきって」ぇ?」

ソレは完全な更地にしていなかったってことでしかないわけで。
むしろ聞かないほうがよかった。
聞こえていない聞こえていない。
「ああ、少々公共物を破壊してしまったので、処理をお願いしますよ、ボンゴレ」
笑顔で言った骸に純粋な怒りを覚えた綱吉であったが、ここで殺意にはならない自分のダメツナっぷりを自覚しただけだった。
しかたないのでへたりこんで、現実逃避に励む。
そこ、突っ込まない。

「で、ヒバリさんと了平さんとXANXUSは?」
「その場に放置してきたから知らない」
さらっとマーモンはとんでもないことを言って、キッチン横の椅子に腰をおろすと、細い足をふらふらとさせる。
「おなかが減った、何かないの」
「有料」
眉をひそめて言い切った獄寺に、ふんと鼻を鳴らした。
「気が利かないね」
彼の自由っぷりは慣れていたので、誰も何も言わずに終わる。

とりあえずと言った様子で、上がりこんだ骸はどっかりと座り込んだ。
そしてニコニコ笑顔で、これまたとんでもないことを言いやがる。
「ボンゴレ、今からどうするのです? 言っておきますが、ボンゴレ本部にいるスパイは必ずしもスパイではありませんよ」
その言葉の意味を正確に察した一同は黙り込んだ。
「僕としてマフィア相手に一戦、ってのも悪くないですが」
どうします? と楽しそうに聞いてきた骸に綱吉は溜息を返した。

つまりボンゴレが二分しているのだ。
本当に二分しているとは思わなかった。
しかもその非ツナ側から、暗殺者まで派遣されているとなればただの二分ではない。
内乱に近い。
「とりあえず状況をつかまないと。XANXUSが俺の護衛をしてたってことは、ヴァリアーは俺側でいいのか?」
「いいもなにも、ボスがそういうからね。ボスはあんたに負けてる、あんたの実力は知ってるさ」
「そうか、ツナの十代目襲名を拒むやつらは、ツナの実力を知らねーのか」
かといって綱吉の強さをわかりやすく見せつけ・・・るいい方法も思い当たらない。
「一応リボーンも綱吉側だよ。安心しな」
「それはありがたいよ。最強の暗殺部隊と最強のヒットマンが俺の味方なら暗殺される可能性は激減するからなー」

そう言いながらも綱吉の表情は暗い。
逆に言えば、それ以上味方がいないに等しいということだ。
「キャッバローネはどうすか」
「ディーノさんは内部抗争にはかかわれないよ。あとは守護者たちか」
まあ、味方としては十分かな、と呟いてから綱吉はすっとその目を細める。
彼の周囲の空気が確かに研ぎ澄まされる。
わずかな殺気すら感じるその中心で、彼らの王は口を開いた。


「マーモン、ランボへ連絡をつけてくれ。スクアーロ、九代目と門外顧問に連絡を。隼人は偽名でマンションを二つ押さえてくれ。山本は俺と一緒にXANXUSと合流しに行く」
その姿を見れば誰もが、彼を仰ぎ見ることを厭わないだろうに。
彼の死ぬ気の炎と同じ色の、オレンジのオーラが猛って見える。
「粛清を行う」
「「Si, Decimo」」

 

 

 

 



***
私はやはりツナ様が好きです。
初めてアニメでみたあの感動。
忘れません。