<あほあほ恋愛談>

 


「すーぺるびー すーぺるびー すーぺるびっび」
「じゃかましいい!!!」
びっびー♪とご機嫌なディーノに鼻をつつかれて、キれたスクアーロは立ち上がる。
だがそんな彼にディーノはひるむ様子もなく、相変わらず鼻歌歌ってご機嫌だ。
鼻歌はいいけど歌詞が「すーペるっびーすーぺるっびーすぺるびっびー♪」なのは、止やめてほしい。

「うるせぇ、カス」
「えへへへへ」
ザンザスの言葉にもにへららと笑ってご機嫌だ。
いい加減きもち悪いので理由を聞いてやろうとしたら、先にスクアーロが言ってくれた。
「彼女ができたんだと」
「えへへ」
「・・・お前デートとかムリだろうが」
ザンザスの突っ込みは的確で適切だった。
ディーノはほっとけばどこでも転ぶしなんでも間違うしアホなミスは連発するし、デートなんかムリだろうあの男。
「できるもんなー。きのーもさー♪」
「うるせぇ、黙ってろ、かっ消すぞ」

ほっとけば永遠にのろけるのがわかっていたのでそう封じると、むぅーと唇を尖らせる。
「ザンザスは好きな子いねーの? いたら俺協力するぜ」
「テメーの協力なんかいるか、カス」
ハッと鼻で笑うと、目を丸くしたディーノが身を乗り出す。
ディーノの言葉を聞かないように耳をふさいでいたスクアーロも目を丸くしていた。

「「好きな人いるのか!?」」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いちゃ悪ぃか」
目を眇めて返せば、興奮気味のディーノが詰め寄ってくる。
「ど、ど、どんな子!? どの子、かわいい?美人?おねーさま系?」
「ま、まさかどっかのドンの愛人とかじゃねーだろうな?」
「・・・カス鮫にカス馬、テメーらが俺をどう思ってるかよくわかった」

不機嫌絶頂なザンザスに冷ややかに言われ、スクアーロとディーノはぴっきんと固まった。
こうなると彼は手に負えない。
ていうか怖い。
というか暴走するし。
だって俺たちじゃ止めれないし、このヴァリアーの人。

「いや・・・だって・・・なぁ」
「お、おう・・・だって、なぁ」
顔を合わせてあたふたする二人にザンザスが立ち上がった。


瞬間。



〜 〜〜♪


メロディがなった瞬間、ザンザスは携帯をわし掴みにし電話にでた。
「・・・なんだ、どうした」
そう言いながら二人に背を向けたが、ちょうど窓に向かったのでその窓に反射した顔をばっちり二人は見ることができた。
そして驚愕でフリーズした。


「ああ、大丈夫だ。なんだ、そうなのか・・・心配するな、んなもん寝てりゃ治るだろうが・・・ああ、わかってる。そうか、いねーのか・・・いや、いい事だ。間違っちゃねーよ・・・ああ、ああ、そうか・・・」


「・・・スペルビ、あれ、ザンザスだよなぁ・・・」
「どうみたってそーだろ。っつーかちょっと前まではそーだったな」
「俺、アレがザンザスだって思えない・・・」
「・・・・・・・言うな、俺もそう思う」

こそこそ背後で会話をする二人。
そんなのが眼中にないように、楽しそうにザンザスは会話を続ける。
その表情は柔らかく、声色も優しい。
「・・・んな声だすな、行ってやりたくなるだろーが。わーってる、情けねぇ声だすんじゃねぇ・・・・おい、泣くな。いい子にしてるんだぞ・・・ああ、大好きだ、つな」


会話を終了させたザンザスはくるりと振り返って、固まっている二人を見下ろした。
しかし彼らが視界に入ってないかのようにつかつかとそのまま歩き去った。
「・・・・・・ま、また明日な〜」
「じゃーな・・・」

歩き去った彼を見送って、二人は頭を付き合わせる。
「な、なあスペルビ、「つな」って誰!?」
「俺が知るか! っつーかなんっつー・・・」
なんて甘い声で囁くんだ。
あれホントにボンゴレ九代目の息子で十代目候補筆頭のマフィアか。


「・・・・・・ちょっとお前、ツテあるだろ、探ってこい」
「そ、そりゃ探るけどさぁ・・・なんかバレたらザンザスに殺されそーだし」
「そりゃそうだが・・・」

「でも死んでも知りたい」
「・・・だな」

頷いた両者の決死の決意は、翌日ザンザスがさっくりとネタを振れば話してくれたため無駄なものとなった。



 

 

 

 



***
あほあほ学生ですから。
ディーノやスクアーロがつなと初めて会うのは原作通りです。