<ある子供の家族紹介>



僕の名前はニールっていいます、ニール=L=セイエイ。
先月で十二歳になりました。
フランスの田舎にある家は、隣の家とバイクで五分はかかるくらい離れているけれど、庭も広いしけっこう気に入ってます。
大変といえば、学校が遠くて朝早く起きないといけないくらいです。
でもたまに父さんが仕事のついでに車に乗せて送ってくれたりするので、密かに田舎でよかったなと思ってます。

今は父さんと母さんと妹と僕の四人で暮らしています。
あ、それとハロも一緒です。
ハロっていうのはオレンジ色の丸い形をした知能ロボットで、僕が生まれる前からいました。
いつも僕の周りを跳んだりして、色々喋ります。
凄く流暢に喋るので、本当はロボットじゃなくてハロの向こうに人間がいるんじゃないかと思うくらいです。
昔はもっとカタコトだったと思うんですが、人工知能もどんどん学習していくんだなと感心しています。

母さんの名前はフェルト=G=セイエイです。
僕のくせっ毛は母さん似だそうです。
いつもにこにこ笑っていて優しいんですが、怒るとすっごく怖いです。
でもその後で、母さんはいつも僕と妹の好物を作ってくれるので、嫌いになるなんて事はありません。

父さんは刹那=F=セイエイといいます。
僕と同じで黒い髪です……この場合、僕が父さんに似たんだからちょっと変な言い方かもしれません。
父さんには別の名前があるらしいんですど、今の名前の方がいいからって、そっちの名前は使っていません。

昔一回聞いたけれど、少し言いにくい名前だったのでもう忘れてしまいました。
それは、もともと父さんの子供の頃の名前だったそうです。
大人になったら名前を変えなくちゃいけないのかと思ったんですが、母さんに、そういうわけじゃないよと言われました。
それを聞いてほっとしました。
なんとなく気に入っているんです、この名前。

妹はクリスティナ=S=セイエイです。
もうすぐ七歳になる妹は、お洒落にも興味を持ってきたようで、毎朝鏡の前であーでもないこーでもないと悪戦苦闘しています。
お転婆だけど、やっぱり妹なので可愛いです。


ニールっていうのは、父さんと母さんが昔お世話になった人の名前なんだそうです。
妹につけられたクリスティナという名前も同様に。
優しくて頼りになる人で、二人が小さい頃に面倒をみてもらったんだよと教えてもらいました。
父さんと母さんが小さい頃っていうのがあんまり想像できなかったので首を傾げていたら、母さんが写真を見せてくれた事があります。

昔、父さんと母さんが一緒に働いていたところにいた人達の集合写真でした。
写真に写っている父さんと母さんは、今の僕より三才くらい年上の姿で、なんだか不思議な感じがしました。
かわいいねと言ったら、母さんはちょっと照れてました。

写真には、父さんと母さんの他にもたくさんの大人の人達が写っていました。
アレルヤおじさんやスメラギおば……おねえさん、の若い頃の姿もあって、ちょっとびっくりしました。
イアンおじさんは昔はまだ髪の毛あったんだなぁ……などと本人に言ったら絶対拳骨もらいそうだから言いません。

見覚えのある人の姿がたくさんある写真の中で、何人かは初めて見る顔でした。
父さんが一人を指して、この人がニールだよと教えてくれました。
それから母さんの隣にいる、栗色の巻き毛の女性が「クリスティナ」なんだよ、とも。
ニールさんは「マイスター」の中で一番年上として、クリスティナさんはオペレーターとして、皆の面倒をみてくれたんだそうです。
ニールさんはここでは「ロックオン」と呼ばれていたらしく、父さんの「刹那」も母さんの「フェルト」もここでの呼び名だったんだそうです。


父さんと母さんが働いていた職場の事とか「マイスター」の意味はよくわからないけれど、父さんも母さんもその場所とニールさんとクリスティナさんが凄く好きだったんだなってことはなんとなく分かりました。
父さんや母さんが僕と妹の名前を呼ぶ時に、凄く優しい目をしているから。
僕が子供だからっていうのを差し引いても。


会ってみたかったけれど、僕が生まれるよりずっと前に死んでしまったんだそうです。
写真の中の何人か、見覚えのない人達は、僕が直接会える事はないんだと思うと、なんとなく寂しくなりました。

それからお願いして、ニールさんの話を沢山聞けました。
僕もニールさんみたいに恰好いい人になって、それで父さんと母さんと、妹を守りたいなと思いました。


 

 

 




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や っ ちゃ た (゜▽゜)
ED後に刹フェル。