<昼下がり>
 



いい天気だなぁ、とサスケは思った。
こんな日は洗濯物がよく乾く。

「Hey,猿飛。茶」
「あ、はいはい……」
「Thanks」
……そんな日にどうして竜の旦那と縁側でお茶してるんだろうね、俺様。

ここは真田の城で、今座っているのはよく陽の当たる縁側だ。
そこで佐助と政宗は並んで茶を飲んでいた。
元々幸村が手合わせをしたいと政宗を呼んだのだが、政宗が来る直前に少々急務が入ったので、挨拶だけして席を外している。
佐助は政宗が幸村を待っている間、一応は見張りとして隠れて様子を見ていたのだけれど。
「こそこそしてねぇで出てこい」
と一人になって数分もしない内に言われてしまった。
そして忍であるはずの佐助は、ひなたぼっこしながら茶を啜っている。

……なんかおかしくない?

「そういやお前、真田とは昔からの付き合いなんだって?」
「あ、うん、まあほどほどに……」
ほどほどというけれど、まだ幸村が元服する前から佐助は傍にいる。
ちょっとした教育係紛いの事なんかもしてきた。

そう話すと、鼻を鳴らして政宗は言った。
「あいつにどんな教育してきたんだ」
「……どんなと申されますと」
「あいつ、人が抱き着くと奇声あげて飛び下がるんだが」
「…………」
それは本人の資質です。
ていうか旦那の教育係は俺様じゃないです。
あくまでも俺様がしてきたのは「紛い」な事であって、そっちまでの教育は任されてません……あれ、誰もしてないんだっけ?
基本丈夫に元気に育てばいいみたいな感じだったから……つーかそんな事やったんですかあんた。

ざっと突っ込みまでを心の中で行って、口では神妙に答える。
「旦那がそっちの方面に疎いのはもともとですから……」
「Ha,みたいだな。鈍さも人一倍だ」
「そうですか……」
旦那がだんだん汚されていく、というかお二人の進展具合なんて知りたいとは思わないですと思っている佐助の耳に、あまり聞きたくない言葉が入ってきた」
「――そっちのが楽しみってもんがあるけどな」
「へ?」
ぽかんと口を開けたサスケに、政宗は口許を引き上げた。
「イチから俺が仕込むのも面白い」
「…………」

ある意味主の身の危険だとサスケは思った。
今この人ここでやっちゃった方がいいの?
しかしそれをしてただで済まないのは俺様の方なのかな?
竜の旦那にもだけど、旦那にもタダじゃ済まされなさそう。
……でもこれも主に仕える忍としての――

「お待たせしたな政宗殿!」
「No progrem.あんたの忍がいい暇潰しになった」
「佐助が? 何を話しておられたのです?」
何にも気付かず首を傾げている幸村に、あんたのことですよと返す代わりにサスケは疲れた面持ちで盛大な溜息を吐いた。

それを政宗は楽しそうに口笛を鳴らして眺めていた。