<レックナート様の日記1>



太陽暦×××年 ×月 ××日 土

きょうからにっきをかくことにしました。
おかあさんが『にっきをつけておくとおおきくなってからいろいろおもいだせてなつかしいよ』といったからです。

きょうのよるごはんはやさいスープがでました。
おねえちゃんがわたしのおさらにきらいなきのこをいれてきたので、きゃべつをいれたらおこってきました。
おねえちゃんはきゃべつもきらいです。
でもわたしはきゃべつよりおねえちゃんがきらいです。
でもふたりともきらいなものをいれたんだからおあいこだとおもいます。

ねむいのでねます。おやすみなさい。





太陽暦×××年 ×月 ××日 雷

なんだかさいきんおとうさんたちがよくよるにおでかけしています。
おかあさんにきいたら『こどもはきにしなくていいのよ』といいました。

きょうはおかあさんもおとうさんといっしょにおでかけしているので、おねえちゃんといっしょにねます。
おねえちゃんはわたしがなにもしらないことをばかにするけど『しんぱいいらないよ』ってあたまをなでてくれました。

おとうさんもおかあさんもこわいかおをしていることがおおいです。
はやくまたいっぱいわらってくれるといいなあ。















太陽暦×××年 ×月 ××日 水

今日この塔へ引っ越してきました。
元は世捨ての老人が住んでいたという曰く付きの孤島の塔ですが、倒壊の心配はない様子。
けれど長年誰も足を踏み入れてないせいか、蜘蛛の巣と埃が酷いですね……。
そもそも不動産の方で片付けておいてくれるって契約だったのに約束が違うじゃない。
私はこれからバランスの執行者として、紋章の宿主達を導く役目を担いました。
世界にとっても重要な役割です。
そして人から半分紋章を奪いやがったあの姉に報復をしなければ。
大体昔から自分の物はくれないくせに人の持っているものをほしがってあれじゃどっちが上だかわかりゃしない。
 ジャイアンかあれは。

心してかからねばなりません。

とりあえず掃除を始めようと思います。
さすがにこの中で眠りたくはないので……早く弟子を取りたいものです。





太陽暦×××年 ×月 ××日 雷

……今回は、死ぬかと、思いました、本気で。
罰の紋章が宿主を定めたと星見に出たので覗きに行ったら、目覚めて早々襲いかかられました。
確かに夜中に訪ねたのは初対面の人に対して失礼だったかもしれません。
だって外出して日に焼けたくないんだもん。
けれどいきなり剣を突きつけてくる事はないと思います。
「一名様ご案内〜」ってどこにですか。
罰の紋章、あなたは本当に彼が宿主でいいんですか。
いえ、実際には聞きませんでしたが。

それでも役目だけはなんとか果たし、無事こうして戻ってこれました。
あの様子なら、彼は自分の宿星を集め道を切り開いていける事でしょう。
……ということはまた何度か行かなければいかないのですね……。





太陽暦×××年 ×月 ××日 風

弟子を拾いました。
ルックという男の子です。
ハルモニアからぶん取って出てくる時の研究者達の顔ったら思い出しただけでも笑えます。
特殊な環境にいた子なので一般常識から教えなければいけないようですが、手先も器用で素直な子なので大丈夫でしょう。
とりあえず家事から仕込まなければ。もう自炊も疲れたし。
教えるのが今からとても楽しみです。
早く一人前になって私の手助けをしてほしいですね。





××××年 ×月 ××日 土

基礎を教えたら自発的に家事をやるようになりました。
自分がやらなければ誰もやらないという事を覚えたようです。
我ながらいいものを掻っ攫ってきたものです。
後でヒクサクに嫌味交じりのお礼状でも送っておこうかしら。

↓こんな感じの。


拝啓 ヒクサク様

この度は大変優秀な弟子を下さりありがとうございます。
ルックは日々私の元で腕を磨いています。とても素直で賢い良い子ですね。
日々着々と腕を上げています。
野菜を刻む包丁の音もリズミカルになってきました。

ああ、ルックの「兄」にあたるササライは元気ですか?
弟を心配しているといけないので、彼は元気に修行に勤しんでいるとお伝えください。

ところでルックは貴方に似せて作ってあるらしいと研究室にお邪魔した時に耳にしたのですけれど。
正直な感想からして若作りも大概にした方がよろしいのではないですか?
もうそんなに若くないのですから。

それでは機会があればまたお伺いしますね。
その時は、手土産を期待しています。

 

 

反転すると面白いかもしれません。