テッド「…………帰りたい」
クロス「えー? 何か言ったかなテッド君♪」
テッド「悪夢だ……これは夢だ。俺は幽霊船に乗りすぎて精神がおかしくなったに違いない。きっとそうだ、そうに決まってる」
クロス「テッドがなんかホザいてるよ」

フレア「まったく、往生際が悪いわね」
テッド「ヒッ!」
シグル「いけませんねテッド君。クロス様が祝ってくださるというのにそんな態度では」
テッド「ゲッ!」
エレノ「さーて、日ごろ世話になってることだし私もしっかり祝ってあげようかねえ……」
テッド「ギョギェギョア!?」
フレア「うふふ、テッドってば袈裟切りにされたモンスターみたいな声♪」
テッド「なななななななんで」

エレノ「なんだい? 私が祝っちゃおかしいかい」
フレア「おかしくなんかないわよー。ね、シグルド」
シグル「その通りですね」
クロス「はい、じゃあまず僕らから心のこもったプレゼントです」
テッド「……ナンデスカ」
クロス「マグロ」
テッド「ああなんだマグロか………………一人で食えってか」
フレア「違うわよー。ほらカワイイでしょ」

テッド「………………なんですか これは」
クロス「マグロのきぐるみ」
テッド「……………………俺は これで どうしろと?」
フレア「着て戦えばいいと思うの」
シグル「防御力が大幅アップしますよ」
エレノ「よかったなテッド」
テッド「よくねえ!!」

フレア「まあ……酷い! 私がデザインして」
クロス「僕が必死に作ったのに!」
テッド「要らん世話だな相変わらず!! 冗談じゃねぇよ!」
シグル「何がそんなに気に入らないのですか? ほうら、ぴったり」
テッド「あてんな!! 人を誕生日の前日から無人島に連れ出し前夜祭を祝ったとかほざくその神経が気に入らねぇ!!」

エレノ「ふむ……だがなテッド」
テッド「なんだよ!」
エレノ「クロスは軍主で、天魁星だ。その彼の行為を断わるってのは……やっていいもんなのかい?」
テッド「ややややっていいに決まってんだろうが!」
シグル「そうなのですか?」
フレア「やっちゃダメだとおもうのだけど」
クロス「いいよ皆……僕はテッドの好きにすればいいと思う……」

フレア「…………」
エレノ「…………」
シグル「…………」
テッド「…………」
クロス「………………チッ」

テッド「……っ!! そんな目で見るな!! しかも舌打ちするなそこの軍主!」
クロス「え、いやだなあ。僕が舌打ち? するわけないじゃん」
テッド「いけしゃあしゃあと……大体お前ら、俺は今日誕生日だぞ!?」
フレア「だからさっきから祝ってるじゃない」
エレノ「何が言いたいんだお前は?」
テッド「お……俺の誕生日なんだからちょっとは俺に優しくしろよ!」
シグル「いつも優しいじゃないですか」
テッド「お前が一番怪しいわ!!」

フレア「とまあ、テッドは常に全力で突っ込んでいればいいと思うわ」
クロス「そうだね。なんていうかテッドが突っ込められるように全力でボケるのが僕たちの愛? みたいな」
エレノ「なんて恵まれた奴だろうねえ。こともあろうに軍主と王女が手を取り合って幸せを祈ってくれるだなんて」
テッド「聞こえてるわぁ!! いったいどこが俺の幸せだ、お前らが遊びたいだけだろーがぁー!!」
シグル「まあまあ。そんなに怒鳴ると疲れますよ」
テッド「誰のせいだ……と、ぜえ」
シグル「ほら、百五十のおじいさんなんですから労わらないと」
クロス「違うよねテッド。百六十歳だよね♪」
テッド「黙れ」

シグル「まあまあ、私からのプレゼントもありますから」
テッド「……あまり期待しない。なんだ」
シグル「百五十年ものです」
テッド「…………ワイン!? 百五十年ものの!?」
シグル「はい」
テッド「す、すっげー! た、高かったんだろ!? てかなんで!?」
シグル「お気になさらず」
テッド「やべー! シグルドお前ちょっとだいぶ見直したわ!!」
シグル「ありがとうございます。ミドルポートの闇市で五百ポッチの品なのでそれほどお気を使われなくともいいですよ♪」

テッド「……はい?」
シグル「ミドルポートの」
テッド「五百ポッチ……?」
シグル「はい」
テッド「………………嫌がらせか?」
シグル「ちゃんと本物の百五十年ものですよ………………瓶とラベルは」
クロス「中身は灯り用の油だよねー」
フレア「ちゃんと使いなさいねー」
テッド「……………………う……」
エレノ「あ、私からのプレゼントは、次の戦いでの前線配備ってことで」
テッド「う……ぁ」
クロス「テッド?」

テッド「うわぁああああああぁぁああああぁあああん!!」

フレア「……あら、泣いちゃった」
クロス「走っていっちゃった」
シグル「苛めすぎましたかね?」
エレノ「少々やりすぎたかもな」
フレア「しょうがないわねえ。クロス、鍵」
クロス「はい、どうぞ」
エレノ「……なんの鍵だい?」
フレア「テッドの部屋のですよ。閉じこもる前に引きずりださないとね♪」
シグル「では俺はクロス様とケーキを取ってきますね」
フレア「本物のプレゼントもね☆」
クロス「はーい♪」

エレノ「……愛されてるんじゃないかね……たぶん」



***
テッド「やってられかぁあああああ!!」
シグー「…………憐れだねテッド……」
ジョウ「なんだろうこの親近感……」