迷い込んだ森の中。
他の仲間と逸れてなぜかフリックとテッドだけになってしまった。
「あのさぁ、実は俺ホモなんだわ」
「…………」
まるで明日の天気の話でもするかのように口にされたテッドの暴露話を、フリックは聞かなかった事にして焚き火の強さの調整をした。
二人の間に沈黙が生まれる。
テッドはフリックに何かを求めるような視線を投げかけてくるが、フリックはひたすら無視することにした。
が、テッドはそれで終わりにするつもりはなかったらしい。
「なぁ、なんかコメントねーの?」
「俺は人の嗜好にとやかく言うようなことはしない」
というかシグールとテッドの関係についてはすでに知っていたので、今更ホモですなんてカミングアウトされたところで驚きも何もない。
「俺、ホモって言ったんだけど」
「だから俺には関係ない」
「本当に?」
「…………」
無言を貫いていると、テッドはにんまりと口角を吊り上げた。
ああ、こいつこういう表情するとシグールそっくりだ。
そういえば昔、シグールも戦争の前は純粋なお坊ちゃんだったんですよとグレミオが言っていたのを思い出す。
そうかこいつが元凶か。
「男同士にはな、ノンケだけどそいつだから好きってパターンと、ホモだから男が好きってパターンに大分されんだ」