きらめく砂浜青き大空とこれば夏のバカンスの定番表現であるけれど。
「さすがマクドール家……プライベートビーチかよ」
「群島のはしっこの小さな島だけどねー。海流が渦巻いてて船も寄り付かない無人島なんだよー」
「なんでそんなとこ……って、ルックがいるから問題ないのか」
「僕は馬車でも船でもないんだけどね……」
「まあまあ、そのおかげでこうして僕らも楽しめるんだし」
ルックをなだめてクロスはしっかり持ってきたランチの準備を始めている。
「あ、そうそう言い忘れてたけど」
「ここ、ルックとトビアスの実験場でもあるからそこらに生えてる果物とかあんまり口にしたりしない方がー……」
「……遅かったみたいだね」
「し な す き か」
「人の言うこと聞かないから」
「なんでそんな物騒なもんがあちこちに植わってんだよ!」
「言ったじゃない。ここは海流が激しくて人が寄れないって」
「くるとしたらルックの転移くらいしか手段がないから、安全に実験ができるってわけだ」
「トビアス! トビアスの研究って紋章の範囲制限とかそういうのだろ!?」
「おー。だからこういう広い場所は助かるんだ、失敗した時に周りが破壊されないし。ついでにルックの研究手伝ったり、学会で発表する面白い実験やったりも一緒に」
「「…………」」
***
「というわけで今回の成果です」
「ご苦労様です」
「今回は結構自信作だぜ!」
「いつも思うんですが、あなた達の実験ってまともなものとそうでないものの差が激しすぎますよね……」
「実験台があるかどうかじゃねー?」
「実験台があるとつい遊び心がね……」
「……そうですか」