「ジョウイ……!」
「君は勇者だ」
「ありがとうジョウイ」
「僕らは君のことを忘れないよ」
「そんな賛辞はいらないんで、かわってもらえませんかね」
「「ヤダ」」
五人一斉に拒否られて、ジョウイはほとほとと涙を零した。
しかし泣いたところで目の前のルックは実験の手を緩めてなどくれなかった。

「ほら、とっとと食べてよ。冷めたら効果が変わっちゃうかもしれないだろ」
「この真っ赤な物体を僕に食べろって!?」
「クロスに協力してもらって三日三晩かけてやっと完成した新薬なんだ。うまくいけば……」
「なんでそこで黙る!?」
「……いいから早く食べろ」
ルック自らスプーンにすくってジョウイの口元へと押しつけてくる。
見ようによっては「あーん☆」というトキメキイベントだが、この状況にはセノもクロスもまったく異を唱えなかった。

「見てないで助けろよ!!」
「ジョウイの雄姿を見ているのに忙しい」
「クロス!」
「今日だけはルックの手から食べることを許してあげるよ」
「セ、セノ……?」
「ジョウイ、頑張って」
「…………」
「もう、いつまで意地張ってるのさ」

神にも見放されるってこういう事なのかなぁ、と諦めかけたジョウイの後頭部にシグールの手がかけられて、次の瞬間ジョウイの顔が皿に沈んでいた。