オルヴァー:
ドルフとミアキスの長男。容姿は母似。中身はドルフより。
幼い頃からいろいろ叩き込まれているのでその辺が怖い。
エレスアール:
リムの長子、容姿はトーマ+リム÷2ってかんじで。
ソレイェート:
王子。エレの弟。ちょっとわがままで子供っぽい。
ユリウス:
ミアキスの次男。現最年少女王騎士。中身は母と瓜二つ。オルヴァーの弟。
父の現役時代(?)の武器使用。
長く続く名簿を手に取り、女王はため息をついた。
「・・・のう、ミアキス」
「はい、なんですかぁ陛下」
最年長女王騎士が、変わらぬ笑顔で応対する。
「この名簿に、おぬしの長男の名があるのは気のせいか?」
「いいえー、ホントですよぅ」
もうストームフィストについてますからねーとからから笑った幼少の頃からの護衛の言葉に、リムスレーアは思わず前のめりになった。
<未来の闘人祭>
腰掛けて神妙な面持ちで青年は自分の武器を研ぐ。
闘神祭では武器の使用からその種類まで、よほどのことがない限り自由だった。
もちろん薬物の類の使用は絶対に禁止されているが。
「オルヴァー」
静かな声がかけられて、彼は顔を上げる。
そこには音も無く控え室に入ってきた父の姿があった。
「父さん」
「刃を鈍らさないように」
その言葉にこめられた意味を汲み取って、オルヴァーは頷く。
「はい、女王陛下の前で恥じない戦いをしようと思います」
「……オルヴァー」
僅かに父の口元が動いた。
数歩こちらに歩み寄った彼は、その手を優しく息子へ伸ばす。
次の瞬間、放たれた細い針のような武器を紙一重でかわす。
否、かわしたと思ったのにその鋭い刃はオルヴァーの頬を切っていた。
「っ」
日ごろならありえない失態に唇を噛む。
「戦う理由を誤るな。陛下のためにではないだろう」
「……はい、俺は――」
流れる亜麻色の髪。
琥珀色の目。
「俺は、エレスアール様のために」
守ると決めた。
いといけな ひと。
幼い頃から、リムスレーア陛下の長子として過度な期待をかけられ、それに応えてきた強い、ひと。
辛くないはずがないのに、誰にも弱音をこぼさずに。
「――あの方の、笑顔のために」
あの方が、少しでも楽になれる場所になるために。
「オルヴァー」
「はい、父さん」
「貴賓席にはギゼル様とサイアリーズ様をはじめ、アルファード様もいらっしゃる」
「!」
二十年以上も昔に、国を救った人。
ファレナの英雄――アルファード様。
「特定の出場者への肩入れは禁物なれど――」
父の手が、柔らかくオルヴァーの頭を撫でる。
母と同じ、紫のかかった髪。
「皆、お前を応援してくださってる」
「…………」
「欲しいものは自分で掴め」
「はい!」
きっと顔を上げた息子の面差しは、その母親に瓜二つだった。
「あ〜、出てきましたよー」
ぱちぱちと手をたたいてはしゃぐミアキスを、リムスレーアは呆れた目で見やる。
「おぬし……」
その横の女王騎士長も苦笑して、闘技場に視線を移す。
「ミアキス、オルヴァーはまことにだいじょうぶですか? とてもとても強い者がたくさん出ると、昨晩サイアリーズ大叔母様が」
眉を寄せて心配そうな面持ちのエレスアールに、大丈夫ですよとミアキスは笑う。
「叔母上、エレを心配させてどうするのじゃ」
リムスレーアに睨まれたサイアリーズは、からからと笑う。
「いいじゃないか、オルヴァーが負けるわけないんだし」
「……サイア」
隣で溜息をついたギゼルがたしなめるが、くすくすと笑うアルファードがかまわないじゃないかと肩をすくめた。
「現女王騎士だって彼と対等に張り合える人物は少ないそうだし。だよねえトーマ」
無言の肯定をした女王騎士長に、むっとした顔をしたソレイェートが食って掛かった。
「でも伯父上! じゃあどうしてオルヴァーは女王騎士にならなかったのですか? 僕は何度も母上にも父上にも言いましたよ、オルヴァーを女王騎士にして僕の護衛につけてほしい! って」
年が離れた彼に一番なついている王子の幼さを垣間見せる言葉に、アルファードは笑った。
「おじさんもそう言ったんだけどね。あそこは親子そろって頭が固くて」
「そろっては余計ですぅ」
「そーですよ、それに王子の護衛はボクじゃ不服ですか」
ミアキスの隣で頬を膨らませたユリウスは、赤紫の目でソレイェートを覗き込む。
「不服、じゃないけど、だってユリウス……怖いし……」
「聞こえませんでしたよぉ、おーじぃー」
にこりと微笑んだ彼の指には、次の瞬間ずらりと飛針が挟まっていた。
***
名前は便宜上でつけてみた。
お父さんなドルフが書けなかった。