<再生>
ソウルイーターの中に捕らわれても、薄ぼんやりと意識があったが、ソレはきっと元宿主だったからだろう。
それも頻繁に途切れるようになってきて、もういいかげん同化するのかと思った。
それが、覚えている限り最後の意識。
「……どこだここ」
思いのほか真っ当な科白を吐いた彼に、クロスは微笑する。
ぼうっと光の中に浮かんだその姿は、百五十年前と何も違わない。
「テッド、ひさしぶり」
「……っ!?」
状況を飲み込んでいないながらも、テッドのクロスに対する態度は明白だった。
目を大きく開き、声にならない悲鳴を発しつつ指差す。
……その理由を察したレックナートは、状況説明をクロスへと任せ、逃げた。
「な、な、なっ……」
「はーい、百五十年振りにこんにちはテッド。甦らせてあげた僕にお礼は?」
ぱくぱくと口を動かしていたテッドが、ようやっとまともな言葉を発した。
「シグールは?」
「え?」
「……そうか、知らないのか……って待て俺はたしか」
「うん、ソウルイーターに喰われたんだって? 何やってるのさ宿主」
「……元、だから」
何もない右手をかざし――……テッドは固まる。
そこには、見慣れた紋章が。
「……あれ?」
「うん、あれ? だね」
どうなってるんだろうねえと笑うクロスに、テッドは呆れた視線を向ける。
こいつ、全然変わっとらん。
「シグールって、トランの英雄シグール=マクドールでしょ?」
「……そう、だ」
「紋章がらみの……ああそっか、そういうことね」
なるほどね、と一人事情を理解したらしく頷いたクロスは、テッドへ視線を向ける。
「で、どーすんの?」
「どーすんのって……」
「会いたくないの?」
「…………」
今更、俺は死んだのにか? と呟いたテッドはクロスの方を見て笑った。
「でも、会いたい」
「うん、じゃあ会いに行こうか」
ってわけでちょっくら行ってきまーすレックナート様。
明るいクロスの声に、早くどっか行けと呟いたレックナートがいたとかいないとか。
***
テッド再生話。(再生……?
クロス「あ、ちなみに君、ソウルイーターからある程度以上離れられないから」
テッド「……は?」
クロス「だってほら、魂の先っちょがね? ソウルイーターに捕まってるわけで」
テッド「……あ、そう」
クロス「それにしてもテッドに「親友」ができるなんてねえ、お母さんは嬉しいよ」
テッド「誰がお母さんだお母さん」
クロス「ツッコミのノリも良くなったしねえ、ってそれは元からかv」
テッド(……お前は性格輪をかけて凄くなったぞ……って言えねぇけど……)